

そんなに遠くない昔、理想の暮らしをしていた人たちがいた。
そのころにインターネットがあったらどうなっていただろうか・・・

愛のあるものづくりが生まれる暮らしを取り戻したい。
島根県大田市温泉津町 日祖(HISO)のこの場所に昔タタラ場があった。この山の谷間には畑や田んぼが広がり、集落も存在していた。目の前の海ではサザエやアワビ、ウニ、多様な魚や海藻が取れる。山に入れば山菜やイノシシも。温泉津には鉄分が多く含まれている温泉があり、ここの川には鉄が流れてきて、それが砂浜に蓄積されている。自然と調和した当時の暮らしが目に浮かぶ。
*タタラ場とは砂鉄から鋼を作る作業場のこと。下の写真の黒い砂は砂鉄。刃物が作れる。




目の前にある本物の価値に気付けてきた。
政治や経済成長が優先される社会。こうしてすぐ側にある豊かな資源を生かし切れず、合理的な開発によって一部の自然や生態系を潰してきた人類。少し足元から見直す時が来たのではないだろうか?里山暮らしのように自然と寄り添って、この場所でものづくりをして暮らしたい。そしてこの地に小さな村を作りたい。小さなスケールで良い。魅力的な場になり、人になり、暮らしになり、そこから愛のあるものづくりが生まれる。それが本当の価値。そこに本来の幸せがある。
→ 関連リンク『WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019』受賞インタビュー

MUJUN WORKSHOPと刃物職人たちとこれからの話。

愛のある職人が生きにくい時代。それを変えたい。
シーラカンス食堂は播州刃物の取り組みを通して、地元兵庫県小野市三木市の刃物職人の後継者不足の現状に強烈な不安を覚えた。何かがおかしい。後継者育成の取り組みを行っても来たが、数名の後継者が生まれて以降先が見えなくなった。それと同時に本物の職人を目指す者がどれだけ生きにく時代になっているのかも思い知った。
写真:小野市在住、日本一の花鋏鍛治職人 井上昭児さん 88才、職人歴約75年
→参考リンク 播州刃物の活動について

とりあえずやってみる。
このままだと愛おしい尊い職人のDNAが途絶えてしまう。熟練職人の年齢的にはもうすでに弟子入りは不可能と判断。そして、後継者育成の方法そのものを考え直し、新しい工場をつくって後継者育成を行うことにした。きっと賛同者が増え、応援してくださる方々も増えるだろうと期待する気持ちがあったから実行できた。そこから約2年足らずだが、この方法は間違っていなかったと断言できる。
→参照記事 Yahoo Japan ニュース!(WORKSHOPについて)

これまで工場をアップデートしていく作業に追われつつ、稼ぎ頭となる富士山ナイフの生産化と、本来の目的である火造り鍛造の練習をなんとかやってこれている。トライアンドエラーを繰り返し、どうしてもわからないことは熟練職人さんに物を持って教えていただく。
本来、この世界は弟子入りすると目で盗めという世界だ。そのスタイルによって辛抱強さや一生やり抜く職人の魂が鍛えられると思っている。しかし、今は時間がそれを許さない。今のタイミングには今やっているスタイルが本当にマッチしている。熟練職人さんも気持ちよく色々アドバイスをくださる。さらに道具や材料までいただくこともある。我々の志に共鳴してくださったのだろうか。継承のスタイルや教えるスタイルは変えていける。むしろ変えていかないと続かない。


資金的不安と今の場所
今のところ、シーラカンス食堂は後継者育成工場をつくってから大赤字だ。従来のデザイン業で得た利益をほぼ全て工場と後継者に投資している状態だ。富士山ナイフで巻き返そうとしている一方で、量産品的な思考が前で出てしまうと本来やろうとしている事から離れていく。負のスパイラルへ突入することになる。それだけは絶対に避ける。
本当の意味でものづくりに没頭して切磋琢磨できる環境をつくりたい。


すでに、彼らが羨ましい。
シーラカンス食堂をつぶすわけにはいかないと思う一方で、もっと彼らのような方々を受け入れたいと本気で考えている。工場もそのために少し広くした。ピュアな未来のある新時代の職人を応援したい。この応援に賛同してくださる方々をこのページで募りたい。
そして近い将来、誰もが羨ましがる幸福度の高い職人が暮らす村を作りたい。誰もが助け合い、誰もがアーティストで、誰もが愛に満ちた村を。

そして、今回の受賞。
タイミングに意味がある。
WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019 受賞式に12月12日出席してきた。
各業界で革新をもたらした名だたる方々と肩を並べて受賞の実感が湧いた。
しかし、なぜこのタイミングにこのような名誉あるアワードをいただけたのだろうか?
と、考えるようにもなった。なにせすごいタイミングだからだ。
正直、自分たちがやっていることは今の日本社会において、まだまだ生きにくいのが現実である。それを変えようとしているのは間違いない。この活動が何か大きな社会の渦の中で光って見えたのだろうか。いずれにしても、この受賞は何か大きな力に背中を思いっきり押されたような、そんな気持ちだ。苦しい時期だが、自信を持ってこのまま進んでいこう。
リンク:色とりどりの情熱による“炎”で照らされた夜:「WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019」授賞式レポート




僕たちの活動を応援してくださる方々を募集
これから本当の価値について探求できる環境、本当の意味で豊かな村を作っていこうとしている。しかし、それはまだまだ長い道のり。今は引き続き兵庫県小野市に2年前に作った工場で若い刃物職人の継承者を増やしたい。現在2名だが、5名ほどは目指したい。そして新しい伝統技術の継承の仕組みを確立させたい。同時に思いやりで繋がる流通を構築していきたい。
そして、今まで通り島根県にも通い続ける。
これまでの約10年、島根県で理想の環境を求め続け、やっといろんな事や人が繋がってきた。とんでもない可能性が今目の前に広がっている。僕たちはこの数十年で社会が見捨ててきた思いやりのあるものづくりができる環境を取り戻したい。そこに本物の価値があると信じているからだ。
共にこの夢を叶えてくださる方、応援してくださる方々をこのページにて募りたいと思っています。どうかご協力をお願いいたします。応援方法はいろいろあります。個人や企業様、行政、様々な方面からのご支援をお待ちしております。お気軽にお問い合わせくださいませ。

記:シーラカンス食堂 / MUJUN
代表・デザイナー: 小林 新也
CEO: Shinya Kobayashi
「このページでは、 我々の夢の実現に向けて応援してくださる方を募っています。 もちろん一緒に夢を追いかけてくれる仲間も大歓迎です。最後まで読んでいただけましたら幸いです!」
LINK
『WIRED Audi INNOVATION AWARD 2019 』受賞
この度の受賞でこの夢を語った。
『GOOD DESIGN BEST100 & 特別賞 2015 』受賞
播州刃物ブランドの創出と後継者育成が転機になった。
応援方法

¥5,000
富士山ナイフ / FUJI KNIFE @MUJUN
家庭やアウトドアで使える折りたたみ式ナイフ。
三保の松原の景色を商品の機能性と融合させた工芸的商品。
後継者育成と連動した商品です。この商品の製作工程が練習になります。

¥20,000
小刀 @DESHIDO / 弟子道
見習い職人が魂を込めて作る小刀。
完全受注生産のため、利き手に応じます。
不恰好ですが、鋼と軟鉄を鍛接し、鍛え上げた商品になります。

¥30,000
花鋏 @DESHIDO / 弟子道
高難易度の刃物、ハサミになります。
一本の鉄の棒から作り上げ、鋼を鍛接して商品になります。
まだまだ未熟な職人ですが、将来への期待を感じる一品です。
我々にできることでお応えさせていただきたく思います。
寄付金も大歓迎です。
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